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自称ダンディ文豪(自称)
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私は彼に似てるらしい
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泣いては いけない。
涙なんて 見せるものか。 後ろも振り向かず店を出て行く彼の後姿を眺めながら、私はそう自分に言い聞かせていた。 席を立つ間際、彼が灰皿に押し付けた煙草が燻っている。 灰皿から立ち上る、一筋の青白い煙。 それが、サヨナラを告げて立ち去る彼の振る手のようにも見えたけれど、 実際の彼は席を立つと私を振り返ることも無く、扉の向こうに姿を消した。 いつかこんな時が来ることを予感していた。 たまたま、その時が訪れただけ。 強がり?いや、そんなんじゃない。私は自分の心に嘘はついていない。 ただ、過去をつまらないと思い込むことで自分を保ってきた、それが私の処世術。 良かったことを思い出すと、別れがつらくなるから。 失うのが恐くなるから。 だから、つまらない、だめな男だったと思い込む。 くだらない恋愛だったと自分に言い聞かせるの。 気がつくと、 瞬きも忘れ、ずいぶん長いこと彼が姿を消した扉を見つめていた。 睨みつけていたといったほうが良いかもしれない。 ボーイから恋人に捨てられた哀れな女と思われなかったかしら。 誰かに言い訳をするように、私は目の力を抜いて店内を見回す。 誰も私なんて見ていない。 そう、誰も私なんて、見てはいない。 その時、誰かの視線を感じた。 いえ、見えたというほうが正確なのかもしれない。 私は後ろの窓を振り返る。窓の外に都会の夜景が広がっている。 そこに 窓に映ったのは、私を見つめる一人の漢(おとこ)。 私は再び店内を見渡した。そして、その男を見つけ出す。 肩まで伸びた黒髪。胸まではだけた白いシャツから見え隠れする浅黒い肌。 そして 私を見つめる、どこまでも深く澄んだ瞳。 心臓の鼓動が、急に高鳴る。 どうして?どうして彼は私を見ているの? その瞳は、まるで私の心の奥底まで見通しているかのよう。 その目に見つめられると、私の心を幾重にも覆っている壁が取り払われていくように感じる。 漢(おこと)の表情は読み取れない。 悲しみでも、哀れみでも、怒りでもない不可思議な表情。 私はそんな表情で他人を見つめる人を、今まで見たことが無かった。 言葉は無い。いえ、会話は要らない。 店内に静かに流れる音楽が、酔客の喧騒が、グラスが触れ合う微かな音が、 その刹那消え失せ、彼と私の二人だけがその場に残る。 「おれ いきゅう 歌 うたう。」 そう言うと彼は突然歌いはじめた。 オレぉ 波をぉ 赤くぉ 隠すぉ 暗いぉ 月がぉ 飲み干すぉ オレぉ 不思議な歌声だった。いや、コレは歌なの? あたかも鬱蒼とした深夜の樹海の奥で、名も知らぬ獣が立てる咆哮のよう。 でも意味はわからなくても、その歌声に私の細胞が泡立つ。 店の中で大声で意味不明の歌を歌い続ける彼に、店内の誰も目を向けない。 気づかないはずは無い。だけれども誰もが、あたかも彼がそこにいないかのように振舞う。 ただ私だけが、彼の歌声に惹かれていた。 その時、 私の目から、ふいに涙がこぼれた。とても暖かな涙が。 次から次へと流れ落ちる涙を拭いもせず、私は歌い続ける彼を見続けていた。 そう、 私だけが、アナタを見続けているの。 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ あ、いや。なんとなくトリビュートということで。
by e_vans
| 2008-06-08 21:00
| 妄想列島日本
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